当日の運営は「その場で考えない」ための準備が9割
スタンプラリーの企画・店舗集め・告知を終えると、残るのは当日です。ところが、当日の運営だけは企画書に書かれないまま本番を迎えることが少なくありません。「なんとかなるだろう」で始めると、開始1時間で同じ質問の電話が鳴り続け、主催者が現場に張り付いて動けなくなります。
当日の運営で大事なのは、判断の速さではなく「起きうることを先に決めておき、その場で考えなくて済む状態にする」ことです。参加者から想定外の質問が来ても、スタッフが誰でも同じ答えを返せるなら、現場は回ります。
この記事では、スタンプラリーを主催する方に向けて、当日の運営マニュアルの作り方、スタッフの配置、よくあるトラブルと対応、終了後すぐにやることまでを順に整理します。デジタル(QRコード)方式を前提にしつつ、紙の台紙でも共通する部分も含めています。
当日までに用意しておく3つのもの
当日の運営で必要なものは、突き詰めると次の3点です。どれも開催直前ではなく、告知を始めるころから少しずつ作っておきます。
- 運営マニュアル(主催者用):タイムライン、連絡体制、トラブル時の判断基準をまとめた本体。数ページで十分です
- スタッフ用の1枚メモ:当日だけ手伝う人・協力店舗のアルバイトに渡すもの。「参加方法」「よくある質問3つ」「困ったときの連絡先」をA4片面に収めます
- 連絡体制の一覧:主催者の緊急連絡先、店舗の連絡先、景品保管場所の担当者。紙とスマートフォンの両方で持てる形にします
特に効果が大きいのが2つめのスタッフ用メモです。当日の問い合わせのほとんどは「どうやって参加するの?」「スタンプが増えていない」「景品はどこでもらえる?」の3種類に集中します。この3つの答えが現場のスタッフの手元にあるだけで、主催者への電話は目に見えて減ります。
当日のタイムライン
開催期間が1日のイベントと、数週間続く周遊型では動きが違いますが、「開始前・開催中・終了後」の3区分で組み立てる点は共通です。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 前日まで | 全スポットのQR・掲示物が正しい位置に貼られているか確認/実機で全スポットを1回ずつ読み取ってテスト/景品の数を数えて保管場所を確定/スタッフへメモを配布 |
| 開始30分〜1時間前 | 受付・案内の設置/スタッフの集合と役割確認/主催者の端末で参加画面が開くか最終確認/問い合わせ窓口の電話を手元に置く |
| 開始直後(最初の1時間) | 最初の参加者が詰まらずに1スポット取得できるかを現場で見届ける/取得数が伸びているかを管理画面で確認/読み取りの失敗が続くスポットがないか確認 |
| 開催中 | 定時(例:2時間おき)に取得数と景品残数をチェック/店舗からの連絡に対応/伸びが鈍い時間帯はSNSや館内放送で追加の告知 |
| 終了1〜2時間前 | 景品の残数を確認し、締切と交換場所を改めて案内/達成間近の参加者が多い場合は最終受付時刻を周知 |
| 終了直後 | 掲示物の撤去/景品の残数と交換数を記録/スタッフから気づいた点をその場でヒアリング |
| 当日中 | 参加者数・スポット別取得数を記録/店舗へお礼の連絡/トラブルがあれば内容と対応を書き残す |
前日の「全スポットを実機で1回読む」工程は、面倒でも省かないでください。QRの貼り間違い、印刷のかすれ、別イベントの古いQRが残っているといった事故は、この確認でほぼ防げます。
スタッフの配置と役割
人手が潤沢な現場は稀です。だからこそ、役割を先に分けておくと少人数でも回ります。最小構成は次の3役です。
| 役割 | 担当すること | 配置の目安 |
|---|---|---|
| 受付・案内 | 参加方法の説明、スマートフォンの操作サポート、チラシ配布 | スタート地点・人通りの多い入口に1〜2名 |
| 景品交換 | 達成画面の確認、景品の受け渡し、残数の管理 | 景品交換所に1〜2名(終盤は増員) |
| 本部・巡回 | 問い合わせ電話の受け、店舗との連絡、取得数のモニタリング、現場の巡回 | 主催者本人が担当。現場に固定しない |
ここで一番やってしまいがちなのが、主催者が受付や景品交換に入ってしまうことです。判断できる人が1人で現場に立つと、店舗からの連絡も、想定外のトラブルも止まります。本部役は身軽にしておき、どこへでも動ける状態を保ってください。
協力店舗のスタッフには、原則として作業をお願いしない設計にします。店舗の負担を減らす考え方はスタンプラリーの協力店舗の集め方で詳しく書いています。
よくあるトラブルと当日の対応
現場で実際に起きることは、ある程度決まっています。あらかじめ対応を決め、マニュアルに書いておきます。
| 起きること | その場の対応 | 事前にできる備え |
|---|---|---|
| QRコードが読み取れない | 後述の切り分け手順で原因を特定。掲示物の汚れ・反射なら予備を貼り替える | 各スポットの予備QRを1枚ずつ用意して本部で保管 |
| LINEやInstagramから開いた画面でカメラが起動しない | アプリ内ブラウザではカメラが使えないことがある。スマートフォン標準のカメラで店頭QRを読むか、SafariやChromeで開き直してもらう | チケットや参加URLを案内する文面に「標準のブラウザで開いてください」と書いておく |
| 電波が弱くて画面が進まない | 店外など電波の入る場所で再度開いてもらう。オフライン対応の仕組みなら後から同期される旨を案内 | 事前に全スポットで電波状況を確認し、弱い場所を把握しておく |
| スマートフォンを持っていない参加者 | 同行者の端末で一緒に参加してもらう/紙の台紙を少数用意しておき併用する | 紙併用の可否を企画段階で決め、告知文にも書いておく |
| スタンプが増えていないと言われる | 参加画面を一緒に確認。別のブラウザやシークレットモードで開いていないかを確認する | 「同じブラウザで開いてください」を掲示物と案内に明記 |
| 景品が予定より早くなくなりそう | 残数を把握したうえで、締切の前倒しか追加調達かを本部が判断。決めたら即座に告知する | 景品を「先着◯名」にする場合は残数表示の方法を決めておく |
| 協力店舗が臨時休業した | 該当スポットを対象から外し、参加者へ周知。達成条件に余裕があれば企画は継続できる | 必要スタンプ数をスポット総数より少なく設定しておく |
| 同じ人が何度も景品を受け取ろうとする | 交換時に達成画面を確認し、交換済みの記録と突き合わせる | 重複取得・重複応募を防ぐ仕組みを用意する |
| 掲示物が剥がされた・なくなった | 予備を貼り直し、貼り位置を店内側へ変更する | 屋外はラミネート加工や再剥離テープを使い、風雨と悪戯を想定する |
| 想定より参加者が少ない | 時間帯別の取得数を見て、人が通る場所での声かけ・SNSでの追加投稿を実施 | 告知の設計を事前に固める(集客・告知方法を参照) |
不正やなりすましへの備えは当日ではなく設計段階の話になります。対策の考え方はスタンプラリーの不正対策にまとめています。
QRコードが読み取れないときの切り分け手順
当日いちばん多い問い合わせです。原因は限られているので、上から順に確認すると数十秒で判別できます。
- 他の人は読めているか:読めているなら端末側、読めていないなら掲示物側の問題です
- 掲示物の状態:汚れ・折れ・水滴・ラミネートの反射。照明が映り込む角度なら、角度を変えて読んでもらう
- カメラの設定:ピントが合っているか、カメラアプリのQR読み取りがオフになっていないか
- ブラウザが開くか:URLは表示されるのにページが出ない場合は通信の問題。電波の入る場所へ移動してもらう
- 参加登録が済んでいるか:初回に必要な手順を飛ばしていないか、参加画面を一緒に確認する
このうち1〜3で解決するケースがほとんどです。読み取り以前に「参加の始め方が分からない」という問い合わせも多いため、掲示物にはQRの横に3ステップの図解を入れておくと、質問そのものが減ります。
参加者からの問い合わせ窓口を1か所にする
問い合わせ先を決めずに始めると、質問は協力店舗に流れます。店舗にとってこれは大きな負担で、次回の協力が得られなくなる原因にもなります。
- 問い合わせ先(電話番号・メール・受付時間)をチラシ・ポスター・Webページのすべてに同じ表記で載せる
- 当日の電話は本部役が持ち、受付や景品交換の担当には回さない
- 店舗には「お客様から質問されたら、この番号を案内してください」と事前に伝えておく
- よくある質問と回答を、参加ページや特設ページに置いておく
「店舗には答えさせない」と決めておくだけで、当日の現場は驚くほど静かになります。
景品交換の当日運営
景品交換は、当日いちばん混雑が発生しやすい場所です。次の3点を事前に決めておきます。
- 確認方法:達成画面のどこを見せてもらうのか。スタッフ全員が同じ画面を知っている状態にする
- 受け渡しの記録:誰に渡したかを記録し、重複を防ぐ。名簿でも、システム上の記録でも構いません
- 締切と残数:最終受付時刻を掲示し、残り少なくなったら早めに告知する
終了間際は交換に人が集中します。終了1〜2時間前から交換担当を増やす、列の整理を用意しておくと、最後に印象を悪くせずに済みます。景品そのものの選び方はスタンプラリーの景品アイデア20選を参考にしてください。
事例:出雲 宵machiバル2026の当日運営
ここまでの内容を、Stampiaを使った実際のイベントに当てはめて紹介します。2026年9月16日・17日に島根県出雲市で開催された「出雲 宵machiバル2026」(出雲商工会議所)です。出雲市駅周辺の飲食店20店をデジタルチケットで飲み歩き、お店でチケットを使うたびにスタンプがたまって景品に応募できる、バルとスタンプラリーを組み合わせた企画でした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会期 | 2026年9月16日(水)・17日(木)の2日間、夕方から夜 |
| 会場 | 出雲市駅周辺の参加店20店 |
| チケット | 3枚綴りのデジタルチケット(前売・当日券)。Webのみで販売し、紙の券や窓口販売はなし |
| 参加方法 | アプリ不要。スマートフォンのブラウザでチケットを表示し、店頭のQRを読んで1枚使う |
| スタンプラリー | チケットを使うとその店のスタンプを獲得。3個で景品に1口応募 |
結果:チケットは完売、配った引換券の約96%が店舗で使われた
- 前売・当日券あわせて300セット(引換券900枚)が完売。当日券も初日の夕方に売り切れました
- 会期中に使われた引換券は862枚で、消化率は95.8%。20店すべてで利用がありました
- チケットを使った購入のうち約6割が3店以上をはしごしており、回遊を促す設計が機能しました
- 引き換えの93%が17時台〜20時台に集中。ピークは18時台でした
紙の共通券では「何枚が実際に使われたか」を把握するのに回収と手集計が必要ですが、デジタル方式では会期終了の翌朝に店舗別・時間帯別の確定値がそろいました。各店への利用レポートと精算の資料も、この数字からそのまま作成しています。
当日の運営で工夫したこと
- 問い合わせは事務局に一本化:お客様からの質問は本部と現地スタッフが受け、参加店は営業に集中できる体制にしました
- ピークに合わせた体制:引き換えが集中する18〜20時台に本部の手を空けておき、現地スタッフと連絡を取りながら対応しました
- 開催中の変更をすぐ反映:料理が売り切れた店舗は店舗一覧で「売り切れ終了」と表示し、参加者が次のお店を選びやすくしました
- 翌朝には店舗別のレポート:各店の利用枚数と時間帯をまとめた利用レポートを、会期2日目の朝には作成できる状態でした
この記事で紹介した「問い合わせ窓口を1か所にする」「主催者は現場に固定しない」「終了後すぐに数字をまとめる」は、いずれも宵machiバルで実際に取り入れた運営です。バルイベント全体の組み立て方はバルイベント(街バル)の開催方法で解説しています。
終了後、その日のうちにやること
撤収した時点で気が抜けますが、当日中に手を動かしておくと後がとても楽になります。
- 数字を記録する:参加者数、達成者数、スポット別の取得数、景品の交換数と残数
- トラブルと対応を書き残す:記憶が新しいうちに。次回の運営マニュアルの素になります
- スタッフの気づきを集める:解散前に5分だけ、困ったことを聞き取る
- 協力店舗へお礼を送る:詳しい報告は後日でも、当日中の一報が印象を左右します
- 掲示物の回収漏れを確認する:古いQRが残ると、次回以降に誤って読まれる原因になります
集めた数字のまとめ方と報告書の作り方はスタンプラリーのKPIと効果測定で解説しています。
Stampiaなら当日の運営負荷を下げられます
QRスタンプラリー「Stampia」は、当日に人手が必要な部分を減らすことを重視して設計しています。
- アプリ不要・会員登録不要:参加者はQRを読むだけ。受付でのインストール案内やログイン説明が不要です
- お知らせ配信(メール・ポップアップ):店舗の臨時休業や景品の残数、締切の前倒しを開催中の参加者へすぐに伝えられます
- オフライン対応(PWA):電波の弱い店内や地下でも読み取りを受け付け、通信が戻った時点で反映されます
- データ分析・CSV出力:開催中でも取得数を確認でき、伸びの鈍い時間帯やスポットにその場で手を打てます
- QRコードの自動生成:スポットを登録すればそのまま掲示用のQRを印刷できます。予備の増刷も簡単です
- 初期費用ゼロ・月額1万円から、準備ができればその日から開始できます
参加者が当日どう操作するのかはデモページで実際に試せます。スタッフ研修の場でデモを見せておくと、当日の説明がそろいます。サービスの全体像はStampiaのトップページをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 当日のスタッフは何人必要ですか?
A. 受付・景品交換・本部の3役が埋まれば、小規模なら3名から運営できます。アプリ不要の方式なら受付での説明が短く済むため、人数を抑えやすくなります。混雑が予想される時間帯と終了間際だけ増員する組み方が現実的です。
Q. スタッフへの説明はいつ、どのくらいやればよいですか?
A. 前日または当日の開始前に15〜30分で十分です。口頭だけでは残らないので、A4片面の1枚メモを必ず配ってください。内容は「参加の3ステップ」「よくある質問3つの答え」「困ったときの連絡先」に絞ります。
Q. 開催期間が1か月ある場合も当日運営は必要ですか?
A. 常時スタッフを置く必要はありませんが、初日だけは現場に立つことをおすすめします。掲示位置の分かりにくさや読み取りの問題は初日に集中して表面化し、そこで直せば残りの期間は安定します。以降は定期的に取得数を確認し、伸びが止まったスポットを見に行く運用で回ります。
Q. 参加者から「スタンプが消えた」と言われたらどうしますか?
A. 多くは別のブラウザや別端末で開いていることが原因です。最初に使った端末・ブラウザで開いてもらうよう案内してください。デジタル方式では取得の記録が残るため、状況を確認したうえで主催者側で対応を判断できます。案内文に「同じ端末・同じブラウザで開いてください」と書いておくと、問い合わせ自体が減ります。
Q. 雨天の場合はどうしますか?
A. 屋外に掲示するQRは、雨でにじむと読み取れなくなります。ラミネート加工か屋根のある場所への掲示を基本とし、荒天時に中止・延期する判断基準(いつ、誰が、どこで告知するか)を事前に決めておきます。開催中の参加者への周知手段を持っているかどうかで、当日の対応のしやすさが変わります。
Q. 紙の台紙とデジタルを併用してもよいですか?
A. 併用は可能ですが、集計と景品交換の確認が二重になるため、当日の負担は増えます。スマートフォンを持たない参加者への配慮として少数だけ紙を用意し、交換窓口を1か所にまとめる形が現実的です。移行を検討している場合は紙のスタンプラリーをデジタル化するメリットと移行手順もご覧ください。
まとめ
スタンプラリーの当日運営は、現場の頑張りではなく、事前にどれだけ決めておけたかで決まります。
- 運営マニュアル・スタッフ用1枚メモ・連絡体制の3点を用意する
- 前日に全スポットを実機で読み取り、掲示の間違いを潰しておく
- 受付・景品交換・本部の3役を分け、主催者は現場に固定されない
- よくあるトラブルは対応を先に決め、マニュアルに書いておく
- 問い合わせ窓口を1か所にまとめ、協力店舗に答えさせない
- 終了当日のうちに数字とトラブルを記録し、次回の素材にする
当日に主催者が暇そうにしているイベントは、たいていうまくいっています。準備でそこまで持っていけるよう、今回の内容をチェックリストとして使ってみてください。